症状について

風邪は大抵の場合ウイルス性で、殆どは自然治癒しますので、その症状を緩和する目的で医薬品を使います。
最初に発熱、頭痛が1~3日続き、透明な鼻水も出てきます。ウイルスや細菌を白血球が処理するとどんどん膿っぽい鼻水になっていきます。最後には咳が出てきて、発熱と鼻水の発現からずれるのがほとんどです。
咳は長引くときは長引くので、3週間咳が続いているようであれば、受診したほうが治りが早いことが多いです。

総合風邪薬について

ここで、一般的な総合風邪薬をイメージしてみてください。発熱、鼻水、咳、頭痛といった症状の緩和に、総合風邪薬は様々な成分が配合されています。最初の1~3日くらいしか解熱鎮痛成分は使わないし、たん絡みが終わったら去痰成分も使わないし、咳が終わる頃には大体の成分は不必要なのに服用してしまうことになります。つまり、余計に薬の副作用に悩まされることが増えてしまうのです。特に、総合感冒薬は多種多様な成分を一度に配合していることをアピールしているため、一見するとすごく効きそうに見えるかもしれませんが、症状に合わせて成分を見ていくと、そのときに必要な成分はそれほど多くはありません。

風邪症状の緩和に使うお薬

風邪かもしれないとき(ひきはじめ)

1〜4月のインフルエンザシーズンでなければ、

・漢方薬の葛根湯を、風邪かもと思った夜にお湯に溶いてゆっくり飲みましょう。冷たい水で飲んでいただいても構いませんが、寝る前の一息に、ぜひお湯に溶いて服用し、しっかり身体を温めます。翌朝でも調子が悪ければ、葛根湯を1日3回使って様子を見ます。発熱で消耗しているときは、解熱鎮痛剤のカロナールやロキソニンをつかっても問題ございません。

・PL配合顆粒という総合風邪薬や、ドラッグストアに売っているパブロン系でも対応できます。

・喉が痛いだけであれば、桔梗湯を少しのお湯に溶かして水で冷やして、うがいするとよいでしょう。うがいのあとはそのまま吐き出していただいて構いません。

節々が痛い、熱が出てとてもだるい

漢方薬の麻黄湯を1日3回使って汗を出します。38.5℃を超えて頭がフラフラするというときにはカロナール錠300mgを2錠、頓服で飲みます。脱水しがちなので、できればOS-1のような経口補水液を使います。1〜4月にこの症状がでるとインフルエンザを疑うことが多いです。働き盛りの方は、麻黄湯と休養を取ることで、十分に対処可能な症状です。なお、麻黄湯自体も抗インフルエンザの作用を示します。検査でインフルエンザではない方(検査では約38%の方が症状があっても陰性になることがあります)も、症状がインフルエンザであれば、麻黄湯を使われることが多いです。繰り返しになりますが、インフルエンザ検査がどうこうではなく、症状がインフルエンザっぽい方は、薬局でご用意できるお薬でも十分に対処可能なことがあります。しっかり休養と麻黄湯を取ることは、上記の症状を緩和する選択肢の一つでもあります。

咳が出てつらいとき

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

喉が乾燥している感じがある咳だと使われます。また、咳をしたときに刺激感があればなお、麦門冬湯がよいでしょう。漢方の中ではかなり甘い部類です。お湯に溶いてゆっくり飲んでいただきたい漢方です。この漢方はドラッグストアでも比較的容易に手に入ります。薬剤師がいなくても買えます。

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)

すこし咳がヒューヒューと、気管支が狭くなっているような場合に使われます。気管支を広くして、痰を出しやすくして呼吸を楽にします。どちらかというと急性疾患で使います。こちらの漢方もドラッグストアで買えますが、ラインナップに入っているかどうかは微妙です。なお、薬を飲み始めて3~4週間経過しても長引く咳の場合はマイコプラズマ肺炎か、百日咳の疑いもあるので、受診勧奨対象です。マイコプラズマも百日咳も抗生剤を使った方がよいので、専門治療をお勧めいたします。咳が出ているときはどうすればいいのか、治療ガイドラインも呼吸器学会がガイドラインを発表しています。

呼吸器学会 咳嗽に関するガイドライン第2版 → http://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=57
アスベリン

咳をやわらげることができます。完全に咳を止めるわけではないです。なので、効いていないという印象を持ってしまう方もいらっしゃいます。たくさん咳をすると消耗してしまうため、症状緩和に使われます。カイゲンやルルアタックの一部に含まれています。似たような成分で、「アネトン咳止め顆粒」に含まれるリン酸コデインがあります。アネトンはドラッグストアでも比較的よく見かけます。また、後述する「テオフィリン」も含まれているので、咳症状を和らげるには、「アネトン咳止め顆粒」もよいでしょう。リン酸コデインを使う場合はちょっと便秘っぽくなることがあります。

ファモチジン
(先発名:ガスター)

喉がひりついている場合、逆流性食道炎が原因で咳が出ていることがあります。ファモチジンで胃酸分泌を抑えると症状が軽快しやすいです。ドラッグストアではガスター10で販売されています。なお、ここで紹介しておいてなんですが、逆流性食道炎の場合、第一選択はPPIという胃酸分泌を抑えるお薬なので、症状からして胃が荒れていそうな場合は受診勧奨します。  

フスコデ配合錠

咳がひどいときの風邪で受診したときに処方されることがある咳止めです。1回2~3錠、1日3回までの範囲で使います。ジヒドロコデインリン酸塩とdl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンが入っています。ジヒドロコデインリン酸塩は咳中枢にはたらきかけて、咳を抑制することができます。dl-メチルエフェドリン塩酸塩は気管支を拡張して呼吸を楽にします。クロルフェニラミンはジヒドロコデインリン酸塩による便秘のなりやすさを抑えたり、鼻水を抑えたりすることができます。フスコデ配合錠を飲むと眠気が出ることがあります。3錠使うと、クロルフェニラミンでやや鎮静作用(眠気)が出やすいことはご留意いただきたいポイントです。手術をしていない緑内障の方や、前立腺肥大の方はクロルフェニラミン(抗ヒスタミン)やコデインが入っている医薬品の使用は控えたほうがよいので、フスコデ配合錠ではなく、メジコンやアスベリン、麦門冬湯の使用を検討します。

のどが痛いとき

小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことう・か・ききょう・せっこう)

喉のあたりが腫れて、痛いなぁと感じるときに使います。桔梗湯と同じく、お湯に溶かしてゆっくり服用します。桔梗湯よりも効果が期待できますが、値段も張ります。2日分もあれば十分でしょう。使っていても高熱、つばを飲み込むと喉が痛いという場合は耳鼻咽喉科の診察をおすすめします。

カルボシステイン
(先発名:ムコダイン)

ムコダインで有名な痰切りのお薬です。のどの粘膜の修復にも使われます。風邪の症状によく処方されるため、飲んだことがない人が逆に少ないお薬かもしれません。

アズレンうがい薬

のどの炎症を抑える効果があります。消毒薬ではないので、風邪の予防というより、のどが痛いという症状に対して使われます。なお、イソジンも同じような感じで使われているかと思いますが、風邪の予防で使うのなら、水道水でうがいしたほうが経済的です。塩素が入っているので、殺菌効果が期待できます。

ロキソプロフェン
(先発名:ロキソニン)

解熱鎮痛剤として使われますが、抗炎症作用もあります。のどの痛み、炎症には使い勝手がよいです。ちなみに、同じ痛み止めでも。カロナールは抗炎症成分ではないので、痛みはとるけど腫れはひかないです。のどの腫れであればロキソニンを使うことをお勧めしています。

トラネキサム酸
(先発名:トランサミン)

のどの炎症、腫れによく処方されます。ロキソニンを使うまでもないときはトラネキサム酸で十分です。併用しても問題ありません。

トローチ剤

病院でよく処方されるあのトローチです。のどの殺菌に使います。デカニウムという陽イオン界面活性剤が入っており、細菌や真菌のたんぱく質を壊して殺菌するという作用機序を持ちます。消毒薬の部類です。ウイルスには効かないので、インフルエンザの予防にはならないです。なお、ガムでおなかが緩くなりやすい人は一日6粒くらいを限度にしましょう。

鼻水・鼻づまりがつらいとき

透明な鼻水の場合は、花粉症で使われるお薬である<第二世代抗ヒスタミン薬>が有効です。
鼻づまりの場合

第二世代抗ヒスタミン薬に加えて、鼻づまりがひどい場合は

・ロイコトリエン拮抗薬(プランルカスト、モンテルカスト)を使用して、鼻閉を抑えます。第二世代抗ヒスタミン薬より鼻閉に対して効果が高いです。

・カルボシステイン500mgを1日3回服用します。カルボシステイン500mgはドロドロしている鼻水を柔らかくすることや、痰を出しやすくするために使います。

・アンブロキソール45mgを1日1回服用、カルボシステインと併用しても大丈夫です。鼻水がのどに引っかかっている症状がひどい時に使います。

・フルチカゾン点鼻液を1日2回点鼻します。点鼻する前に、鼻をしっかりかんでおきましょう。医師によっては、フルチカゾン点鼻液にプリビナ液を混ぜるとよいという方もいらっしゃいます。

副鼻腔炎気味の場合は荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)という抗菌作用もある漢方薬がよく使われます。これでも効かなければ、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)の使用を考慮しますが、ここまでくると耳鼻咽喉科の先生と相談したほうが早いです。

ドロドロとした鼻水が出ている場合

鼻づまりがひどくて、鼻をかんだ時にドロドロとした黄色い鼻水が出ている場合は、副鼻腔炎であることが多いです。上記の薬を飲んでも改善しない場合は細菌感染の疑いがありますので、耳鼻咽喉科の医師の診察を受けることをお勧めいたします。この場合、抗生剤、去痰薬、ステロイド噴霧、抗ヒスタミン薬が処方されることが多いです。

鼻水を放置すると、鼻腔内環境が細菌やウイルスにとって増殖しやすい環境になり、悪化することが多いです。しっかり鼻をかんで、鼻水をとめて、休養をとりましょう。

胃腸炎で辛いとき

OS-1(経口補水液)

いきなり薬ではないのですが、ほぼお薬のような効果があるので、一番最初に紹介させていただきます。OS-1(経口補水液)は飲む点滴として、所ジョージさんがよくCMで宣伝している飲み物です。胃腸炎、嘔吐、下痢、熱中症、二日酔い等、脱水の症状を是正するために使われるステキな飲み物です。のどが渇いていないとき(脱水していないとき)はすっぱくて飲みづらいです。しかし、ゴクゴクと飲めてしまうと、脱水していることが大半なので、そのままゴクゴク飲みましょう。吐いてしまって飲む気力がない方は、一口ずつでいいので、ゆっくり摂取することをお勧めいたします。自分で作ることもできます。経口補水液は、水1リットルに対して食塩3g、砂糖40gで作れます。食卓レモンをお好みで加えるとさっぱり飲めます。  

ソリタT配合顆粒2号

粉タイプのOS-1と考えてもらっていいです。WGO(世界消化器病学機構)が推奨するイオンバランスに近く、OS-1同様に酸っぱいです。一袋100mlに溶かして飲みます。大人の方は一日数回、脱水している状態で使います。持ち運びが便利、備蓄に場所をとらない点にメリットがあります。日ごろから2本ほどストックしておくか、ソリタT配合顆粒2号を10包ほどストックしておくとよいでしょう。繰り返しになりますが、経口補水液は家庭でも大量生産できますので、一度作ってみてください。  

五苓散

胃腸炎のほか、二日酔い、吐気、下痢、脱水によく使われる漢方薬です。家庭の薬箱に置いておくべき薬No.1といっても過言ではないレベルで優秀な漢方薬です。味も苦くなく、とても飲みやすい部類です。とにかく胃の中に入っていれば効いてくれます。めまいや頭痛といった症状にも使われることがあります。黄連解毒湯とよく比較されるのですが、五苓散は熱っぽくなければ使う、黄連解毒湯は熱っぽくもあれば使う、という形で分けて説明させていただいています。

ファモチジン

胃が荒れているときに病院でも処方されることがある、ガスター10で有名な胃薬です。病院で処方されるPPIという系統の胃薬より早く効果が出ます。胃酸の分泌を抑えますので、症状緩和に役立ちます。脂っこい食べ物は胃酸分泌が増えるので、胸やけを抑えるためにファモチジンはよくつかわれています。

吐いてのどが痛い時、ファモチジンで胃酸の分泌を抑えて自然治癒するまで様子を見ましょう。 胃腸炎の場合はとにかく経口補水液と五苓散を用意すれば、やりすごせます。2週間以上続くようであれば、消化器内科を受診することをお勧めいたします。

まずはご相談ください

ちょっとした症状の緩和に、どんな薬を使ったらいいか迷ったり、どんなものがあるかよくわからなかったりするときは、薬局で対応できることも多くあります。その他に、健康診断の結果や、サプリメントやケミカル品のご相談まで広く承っておりますので、ぜひ当薬局までお気軽にご相談くださいませ。