乾燥肌から身近なお肌のトラブルによく使われる塗り薬は多岐にわたります。乾燥肌、手湿疹、水虫、虫刺され、脂漏性湿疹といった症状は薬局でも初期対応ができます。ただ、ニキビに関しては、皮膚科で処方された塗り薬の方がはるかに治りが早いため、ニキビでお困りの方は近隣の皮膚科をご案内しております。薬局で販売できるニキビに良いとされる化粧品は洗顔や基礎的な消毒という程度で、ニキビで困っている人向けというより、ニキビを予防するために使いたい人向けです。

原因

皮膚は外部の様々な刺激から守っていますが、洗剤による油分の減少、アレルギー物質への接触、物理的な摩擦などにより、お肌のトラブルに発展します。もともと乾燥肌やアトピー体質の方は皮膚のバリア機能が弱っているため、お肌のトラブルになりやすいとされています。

症状

皮膚のかゆみに加え、赤み、細かいブツブツが見られます。膿の溜まった水疱や、ただれがある場合は皮膚科医の診察を受けましょう。

洗浄に関わる仕事をされている方は手湿疹(手荒れ)が多く、進行するとひび割れやしみる痛みが現れます。

保湿剤、外用剤

皮膚症状の緩和で使われる代表的な保湿剤、外用剤のほとんどは処方箋がなくても購入することができます。重度のアトピー体質の方が使うプロトピック軟膏や、コレクチム軟膏に関しては処方箋が必要です。外用ステロイド剤は部位によって吸収率が違うため、同じもので使い回さないようにしましょう。刺激性が少ない「軟膏タイプ」と使用感のよい「クリームタイプ」がございます。

ヘパリン類似物質軟膏/クリーム
(先発名:ヒルドイド)

【用法・用量】

1日数回 ※乾燥肌を改善するには、保湿剤が皮膚に残っている時間がながければ長いほどよいため、症状がひどい場合はこまめに塗り直します。

【解説】

皮膚科の処方で乾燥肌といえば、ヒルドイドが代表的です。ローション、軟膏、クリーム、スプレー、泡タイプと多岐にわたる製剤があるので、症状に合わせて使用します。ヘパリン類似物質の成分自体が保水力があり、乾燥している肌にうるおいをもたらします。他にも赤くなってしまった小さな傷にも使われます。傷のケアとして使う場合は4週間じっくり使って、肌のターンオーバーを待ちます。

【予算感】

100gで880円程度(ジェネリック医薬品の場合)

尿素クリーム10%,20%
(先発名:ウレパール等)

【用法・用量】

1日2~3回 

【解説】

足のかかとや肘、膝の角質肥厚に使います。イメージとしてはふやかして徐々に肥厚を落とすといった感じです。ドラッグストアでもネットでも買えます。刺激性があるので、皮膚の薄い顔に塗ることは控えてください。塗る部位は踵、くるぶし、指、ひざがメインです。保湿剤と間違えやすいですが、過剰な角質ケアはかえって角質が少なくなって、お肌の保湿力を落としてしまうので注意しましょう。

【予算感】

50gで420円程度

アシクロビル軟膏
(先発医薬品名:ゾビラックス軟膏)

【用法・用量】

1日数回塗布 1週間続けても効果不十分であれば受診推奨

【解説】

口唇ヘルペスになったことがある人にはよく処方されます。再発することがよくあるので、お世話になっている方もたくさんいらっしゃいます。ドラッグストアでは「アクチビア軟膏 2G」として販売されていますが、薬剤師がいないと買えません。唇のあたりがピリピリ、チクチクする場合に塗ります。

【予算感】

1ヶ月で300円程度(ジェネリック医薬品使用の場合)

各種ステロイド外用剤

各種ステロイド外用剤については、患者さんごとにお話しを聞いてからご提案させていただいております。ステロイドの強さ、使用箇所の皮膚の吸収率、使用頻度によって使い分けが多岐にわたるためです。また、皮膚科の先生の診断が必要と判断した場合は受診勧奨させていただきます。

先発名強さ体幹/四肢顔面/首/脇下等
デルモベート軟膏★★★★★(strongest)4週間まで2週間まで
アンテベート軟膏★★★★☆(very strong)6週間まで3週間まで
リンデロンDP軟膏★★★★☆(very strong)6週間まで3週間まで
ネリゾナ軟膏★★★★☆(very strong)6週間まで3週間まで
リンデロンV軟膏★★★☆☆(strong)8週間まで4週間まで
ボアラ軟膏★★★☆☆(strong)8週間まで4週間まで
リドメックス軟膏★★☆☆☆(mild)
キンダベート軟膏★★☆☆☆(mild)
ロコイド軟膏★★☆☆☆(mild)
※各種後発医薬品も在庫しております。
【用法・用量】

1日1~2回 強さと部位によって安全に使える期間が異なるため、都度ご確認ください。

【予算感】

1本5gで150円程度(ジェネリック医薬品使用の場合)

各種抗真菌薬(水虫の薬)

水虫は梅雨の前から秋まで、話題に上がりやすい病気です。高温多湿な日本で、靴をずっと履いているビジネスマンの足は、水虫にとって格好の繁殖環境となってしまいます。水虫は「足白癬(あしはくせん」と呼ばれる感染症で、皮膚糸状菌という真菌(カビ)が原因です。水虫には3つの分類があり、足の裏に小さな水膨れが生じ、水膨れが破れると皮が剥ける小水疱型(汗疱型)と足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたりする趾間型、ヒビ、アカギレのように足の裏全体が硬くなる角質増殖型に分類されています。代表的な小水疱型や趾間型は症状に季節変動が見られ、高温多湿な時期は最盛期で、秋から冬にかけては症状が緩和してきます。あまりに放置してしまうと、爪の中に白癬が入ってしまい、治療期間が長期に及んでしまうこともあります。

最初に、水虫に使う抗真菌薬は大きく分けて3種類(+2薬品)という感じに分類できます。イミダゾール系と○○アミン系とモルフォリン系です。水虫治療には、イミダゾール系のルリコン、アリルアミン系のラミシール、モルフォリン系のペキロンが使われることが多いです。病院、薬局、ドラッグストアでもらった水虫の塗り薬の効果が薄い場合は、他の系統の薬を使うとうまく効くことがあります。ただし、水虫の治療は長期戦で、塗る範囲も局所的ではなく、足全体に塗り拡げる使い方をします。マルホさんのHPに足の水虫の塗り方がわかりやすく書いてあるPDFがありますので、塗り方の詳細はリンク先を参照してください。

※参考 株式会社マルホ「抗真菌薬(アスタットクリーム)の塗り方」 → https://www.maruho.co.jp/medical/toolorder/file/tool/5088407002.pdf

前もらった水虫だと時間がとてもかかってしまった、といった場合に他の系統を検討しても良いと思います。なお、一般的に水虫に使われる塗り薬の中で、クレナフィンのみが、処方せんがないと提供できない塗り薬です。

ルリコン(ルリコナゾール)

【構造式分類】イミダゾール系

【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局零売で購入可能)

【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)

【コメント】アスタットの改良版です。よく見ると構造式がほとんど同じで、Clを加えることで、光学活性体(R体)のみを合成できるようになっています。他の水虫薬より治療成績が良いです。もともとは殺虫剤や農薬の研究から派生して、アスタットとルリコンが創薬されました。

アトラント(ネチコナゾール)

【構造式分類】イミダゾール系

【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局零売で購入可能)

【代替医薬品】ドラッグストア → ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)

【コメント】以前アトラントエースという名前で一般に販売されていました。販売停止の理由はよくわかりません。

アスタット(ラノコナゾール)

【構造式分類】イミダゾール系

【医薬品分類】一般用医薬品(ピロエースZという名前でドラッグストアで入手可)

【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)

【コメント】ルリコンと同じく、農薬の研究から派生して創薬されました。

ニゾラール(ケトコナゾール)

【構造式分類】イミダゾール系

【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局零売で購入可能)

【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)

【コメント】白癬の治療というより、脂漏性皮膚炎の治療に使われています。シャンプーに混ぜて使うと濃度的に効かないので、脂漏性皮膚炎(フケ)で使う場合はローションを1日2回使うことを推奨します。

マイコスポール(ビホナゾール)

【構造式分類】イミダゾール系

【医薬品分類】一般用医薬品(ビホナエースの名前でドラッグストアで購入可能)

【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)

【コメント】一番最初に開発された1日1回タイプの抗真菌薬です。

ラミシール(テルビナフィン)

【構造式分類】アリルアミン系

【医薬品分類】一般用医薬品(ラミシールの名前でドラッグストアで購入可能)

【代替医薬品】ルリコン、ペキロン、アトラント、アスタット

【コメント】ドラッグストアで容易に入手できます。

ボレー(ブテナフィン)

【構造式分類】ベンジルアミン系

【医薬品分類】一般用医薬品(ブテナロックの名前でドラッグストアで購入可能)

【代替医薬品】ルリコン、ペキロン、アトラント、アスタット

【コメント】ドラッグストアで容易に入手できます。ラミシールとボレーは同系統なので、どちらかがどうも効かない場合は別系統に切り替えたほうがいいです。カンジダに適応がないことに注意です。

ペキロン(アモロルフィン)

【構造式分類】モルフォリン系

【医薬品分類】一般用医薬品(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)

【代替医薬品】ルリコン、アトラント、アスタット、ラミシール、ボレー

【コメント】ドラッグストアで入手できます。モルフォリン系の抗真菌薬はペキロンしかないです。

ゼフナート(リラナフタート)

【構造式分類】チオカルバミン酸系

【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局零売で購入可能)

【代替医薬品】ルリコン、アトラント、アスタット、ラミシール、ボレー、ペキロン

【コメント】処方せんか零売でしか手に入らないですが、カンジダと癜風に適応がなく、治療成績も代替品に比べて特段優れているわけではないので、優先して検討するものではないです。  

当薬局にご相談ください

お肌のトラブルは薬局でも対応できるケースが多く、ちょっとした症状の緩和であればとても有効な手段です。気になることがございましたら、お気軽にご相談くださいませ。

※上記の医薬品の購入は一度につき薬学管理手数料として770円(税込み)を頂戴しております。